どうでもいい・昨日編

中世ヨーロッパのとある国では、治安維持のために密告が奨励されていた。
これにより、確かに犯罪者の検挙率は他の国よりも高くなったらしい。
その一方で、隣人さえもまともに信じられないほど、人倫は荒廃してしまったのだが。


このような状況を見かねたある地方の領主は、次のような法を定めた。
「4月1日は密告を禁止する。
 また、4月1日に行われたあらゆる事柄についても、後日これを密告してはならない。」
せめて年に1日くらいは、他人の言動を疑うことなく心安らかに過ごして欲しい、という配慮によるものだったのだろう。
以降、皮肉なことにその地方では、4月1日前後の方が犯罪の発生件数が少なくなったのだとか。


その後、その国の体制は変わり、密告を奨励されることもなくなり、「4月1日だけは他人の言動を疑わない」という風習だけが残った。
やがてこれが曲解され、今のように「4月1日は嘘をついてもいい」という風になったのだそうだ。
そんな背景を慮ると、「今日は他人を騙してもいい日だ」と考えるのは、その国の人たちに失礼ではないだろうか。


という嘘を今日思いついたのだが、この思いのたけは何処にぶつけたらいいだろうか。